主要コンビニ4社の店舗数まとめ 
ローソン

前回書いたノートにつづいて今回はコンビニの店舗数と海外進出について見ていく。

国内には地方を含めあらゆる所でコンビニを利用することができる。菓子やジュース、料理の食材などが揃えられているほか、公共料金の支払いや、銀行ATM、荷物の受取から発送まで様々なサービスが店舗に凝縮されている。

コンビニは国民にとってまさにに便利なお店「Convenience Store」であり、社会インフラの一部ともいえる。余談だがコンビニは中国語では「便利店」という。


今回はそんなコンビニの主要4社であるローソン、ファミマ、セブン、ミニストップの店舗数をグラフ化してみていく。

■コンビニの3種類の経営形態

主要コンビニ4社を見ていく前にのコンビニの経営形態をおらさいしてみる。主に下記の3つがありビジネスモデルも経営の形態によってちょっと異なる。

・直営店
・フランチャイズ
・エリアライセンシーズ

直営店はコンビニ各社の本社などから送られてきた店舗マネージャーが直接店舗の経営を行う形態のことである。

フランチャイズ(FC)はコンビニの名前「セブンイレブン」だったり、「ファミリマート」を看板に掲げて第三者が店舗を運営している。FCの店舗は企業や個人オーナーなどさまざであり、FC形態でのコンビニオーナーはロイヤリティーとしてコンビニ本部に売上の数パーセントや粗利益の数パーセントなどを支払っている。料率やフランチャイズ加盟料などの条件は店舗やコンビニごとに異なる。また本部はFCオーナーに対して経営のノウハウを提供したり、店舗の統一感やコンセプトなどの水準を一定に保っている。

エリアライセンシーズは主に日本の大手コンビニの中ではセブンイレブンがアジア展開に用いている手法である。エリアライセンシーズの主な特徴は各国の企業に経営を完全に委託している点や、出資関係などを持たずに名前だけを貸しだしロイヤリティーを得る点である。

ここで見てきた店舗形態を踏まえコンビニ各社の店舗数を見ていく。

■ローソン

下のグラフを見るとローソン国内の店舗数は2007年の8,500店舗から2017年の12,575店舗まで増えている。一方海外の店舗数は2007年はわずか287店舗であり、2017年には1,156店舗まで増えている。2015年時点では590店舗でありここ2年間で伸ばしてきている。

(出所: 有価証券報告書)


地域別の店舗数の内訳
ローソンの地域別店舗数を見てみると92%が国内の店舗となっている。中国では上海、重慶、大連を中心に1,000店舗を突破しているが、全体の割合でみると海外への進出はわずか8%である。ローソンは2020年までに海外の店舗数を現在の6倍に伸ばし、5000店舗を突破することを目標としており、また中国でも3000店舗まで増やす計画をもっているようだ。

(出所: 有価証券報告書) 

■ファミリーマート

ファミリーマートの国内と海外の店舗数を見ると国内の店舗数が2017年に一気に18,000店舗まで伸びている事が分かる。ファミリーマートは2016年にサンクスを運営するユニーグループ・ホールディングスとファミリーマートが経営統合し新たに「ユニー・ファミリーマートホールディングス」が誕生した。最近までは日本国内の店舗数ランキングは1位セブンイレブン、2位ローソン、3位ファミリーマート、4位サークルKサンクスだったが、今回の統合で3位と4位が合体し国内店舗数で2位まで浮上してきた。

一方海外の店舗数を見てみると、2014年の13,975店舗から2015年の5,642店舗に急激に減少している。1990年にサムスン財閥系列のBGFリテールとフランチャイズ契約を結び、8,000店舗近くまで拡大していたが、2014年に営業時間の規制やFCの規制が厳しくなった事を理由に韓国から撤退している、その際にBGF株式も売却している

(出所:有価証券報告書)


地域別の店舗数の内訳 
海外の店舗数比率は26%程度で、台湾3,106店舗、タイに1,133店舗、中国に1,999店舗を展開している。台湾では日本郵船と提携し日本で購入したものを現地の店舗で受け取れるようなサービスを開始するなど海外へのサービスも充実させようとしている。

(出所:有価証券報告書)


■ミニストップ

ミニストップの株式は47.47%がイオンである。グラフを見ると海外の店舗数は2007年に1,132店舗だったが、2016年に海外が国内の店舗数を超え、2017年には海外に2,498店舗まで拡大している。

(出所:有価証券報告書)


地域別の店舗数の内訳 
ミニストップの店舗数の海外比率は53%である、その中でも韓国は49.61%と大きな割合をしめる。また現在ベトナムでは73店舗を展開しているが、2025年までに800店舗を展開する事を目標としている。

(出所:有価証券報告書)


■セブンイレブン

セブンイレブンは国内のコンビニでトップを走っている。店舗数は19,422店舗で2万店舗も目前である。海外ではセブン&アイは05年に米セブンを完全子会社化した。また2017年にアメリカのセブンがテキサス州や東部の1108店舗に及ぶガソリンスタンドとコンビニエンスストアを買収し店舗拡大を図っているのである。

(出所:決算補足資料)


地域別の店舗数の内訳 
セブンイレブンは北米での割合が大きく、8,770店舗を展開している。

(出所:決算補足資料) 

上のグラフを見るとアジア地域への進出は出遅れているように見えるが、実はセブンイレブンはエリアライセンシーと言われる形態でアジア展開を進めている

前述のように、エリアライセンシーの形態はフランチャイズ形態と若干スタイルが異なる。フランチャイズは経営の指導や、店舗のコンセプトなどを統一しているのに対し、エリアライセンシーでは店舗に名前のみを貸しており、経営には口出しをしないスタイルである。メリットとしては店舗開設と現地のニーズへの対応の速さである。その結果セブイレブンは現在韓国に8,500店舗、タイ9,500店舗、台湾5,000店舗、マレーシア2,000店舗とアジアでも多くの店舗を展開しているのである。


エリアライセンシーを含まない海外展開が9,138店舗に対し、エリアライセンシーを含む海外展開では33,245店舗と約4倍も違うことが分かる。

(出所:決算補足資料)


■4社の店舗数の比較

4社の国内比較
上で見てきたトップ4社の国内店舗数の推移である。特に注目すべき点は2016年にファミリーマートがサークルKサンクスと統合し、店舗数ではセブンイレブンと肩を並べる規模へ浮上してきている点である。

(出所:各社IR資料)


4社の海外店舗数の比較
一方海外での店舗数を比較すると、韓国から撤退したファミリーマートは2014年に海外店舗数が激減している事が分かる。また意外にもローソンは他3社の海外店舗数と比べると海外への進出は遅れていることが分かる。ローソンは海外展開を今後5,000店舗まで増やす計画を発表しているが、セブンやファミマに比べると半分以下になっている。今後の海外展開に注目していきたい。

(出所:各社IR資料)

■エリアライセンシーを含めた海外店舗数の比較

もう一つ紹介したいグラフがある、下記のグラフはセブンイレブンの海外店舗数にエリアライセンシーの形態を含めたグラフである。上のグラフと比べるといきなりセブンイレブンの海外店舗数が断トツでトップに浮上してくる。エリアライセンシー形態ではブランド名を貸すのみの形態なので展開速度が早いことが分かる。


他の3社のコンビニのも同じようにエリアライセンシーでの海外進出を急げばいいのではないかと考えることもできる。しかしブランド名を貸すことのみで、経営に口出しを出さない展開スピードなどのメリットはある一方、デメリットも存在する。店舗経営に関与しないが故にブランドの統一感やクオリティーを保つことができない点や、店舗経営の指導を行わないためロイヤリティーの収益性が低い点である。このことを考えると必ずしもエリアライセンシーでの進出方法が優れているとは限らないようである。

(出所:各社IR資料)


■まとめ

ここまでコンビニ主要4社の国内店舗数と海外店舗数をグラフにして見てきた。日本のコンビニは海外にも多く進出しており、そのなかでも韓国や中国をはじめアジアに進出していることがわかった。また北米で大きく進出しているのはセブイレブンが目立った。またセブンはアジアでの展開はエリアライセンシーという形態を取りスピーディーに大規模展開を行っている。

なによりも強く印象に残ったのが、ローソンの海外展開は他の3社に比べるとかなり遅れていることである。2020年までに海外店舗数を6倍に増やす計画に注目していきたい。