今年6月に上場したばかりの「グッドパッチ」が早速好決算を発表した。
10月15日に開示した2020年8月期通期決算は、最終損益が前年比276%増の2億1,500万円で着地した。前回決算での予想をやや上回った値だ。売上については予想をわずかに下回り、営業利益は大きく上回った。
上場後の株価はおおむね横ばいだったが、10月に入ってから大きく上昇している。決算発表の翌日には22%もの高騰となり、ストップ高となった。
グッドパッチはUI/UXデザインをはじめとするクリエイティブ領域のクライアントワークを主軸とする会社だ。ソフトウェアが支配する現代社会で、デザインの重要性はかつてないほど増している。
その中でグッドパッチがどんな成長戦略を強いているのか、決算報告の内容をもとに整理していこう。
まずは事業の全体像についておさらいしよう。
グッドパッチの事業は、顧客企業向けにデザイン面での支援を提供する「デザインパートナー事業」と、その他のサービスを提供する「デザインプラットフォーム事業」の二つに分けられる。
中核にあるのはデザインパートナー事業で、ウェブやアプリ、IoTなどのプロダクト開発の戦略策定からコンセプト設計、UI/UXデザイン、開発までをワンストップで支援する。
特徴とするのは、課題に並走するデザイン「パートナー」というコンセプトだ。顧客ごとの平均継続期間は10か月前後で、請負ではなく準委任契約でサービスを提供している。
大企業からスタートアップまで幅広い実績があり、直近では物流や食品、建設やモビリティなど領域を拡大している。
デザインパートナー事業に加えて、顧客の幅広い需要に対応するのがデザインプラットフォーム事業だ。
リモートでデザイナーをアサインする「Goodpatch Anywhere」、デザイナー向けのキャリア支援サービス「ReDesigner」、プロトタイピングツール「Prott」などが含まれる。