IACは米国のメディア企業。
1986年に「Silver King Broadcasting Company, Inc.」の社名でメディアや電気製品の小売企業として設立されたのち、数々の買収を経てメディアとインターネットの会社となった。
1997年から2002年の間には、TicketmasterグループやHotel Reservations Network(現Hotels.com)、Expedia、Match.comなどのインターネット企業を次々と買収。
2005年にはAsk Jeeves, Inc.も買収し、こちらも現在Ask.comとして運営続行中。2012年にはAbout.comを買収。
現在、グループ内で展開する主なサービスにはHomeAdvisor、Vimeo、About.com、Investorpedia、Tinderなどがある。
まずは全体の損益推移を見てみる。
すごいサービスや事業を多く抱えているので売上100億ドルはいってるだろう、と思ったが実際には30億ドル、およそ3000億円程度。スピンアウトして独立させたExpediaの半分程度に過ぎない。
年次報告書(Form 10-K)では、事業セグメントとして以下の6つを挙げている。
「Match Group」
2015年にIPOを果たした子会社Match Group, Inc.の事業。デーティング事業と非デーティング事業に分かれ、デーティング事業は北アメリカデーティング(Match, Chemistry, People Media, PlentyOfFish, OkCupid, Tinderなど)と国際デーティング事業(Meetic、PlentyOfFish、Tinderなど)に分かれる。
「HomeAdvisor」
消費者とホーム・プロフェッショナルをつなぐマーケットプレイスを提供。
「Publishing」
About.com、Dictionary.com、InvestopediaやThe Daily Beastを含む「プレミアム・ブランド」とAsk.com、CityGrid、ASKfmなどを含む「Askその他」に分かれる。
「Applications」
SlimWareやApalonなどの消費者むけアプリケーションサービスと、ビジネス向けのパートナーシップオペレーションに分かれる。
「Video」
VimeoとDailyBurn、Electus、IAC Films、CollegeHumor、Notionalなどからなる動画事業。
「Other」:ShoeBuyとPriceRunnerからなる。
では、セグメント別収益を見てみよう。
割とばらけてるな。Match Groupだけで過半数行くかと思ったらそんなことは全くなく、全体の3分の1程度を占めるにとどまっている。PublishingとApplicationsが同規模だったが、どちらも減少傾向にあるようだ。
HomeAdvisorやVideoもわずかに伸びているが、全体と比べると割合は大きくない。
バランスシートの中から、特に額の大きなものだけを抜き出してみよう。例によって資産と負債一緒にすると若干見にくいが。。
おおお。資本剰余金が114億ドル。1兆円を超えているわけか。自己株式(Treasury stock)がマイナス98億ドルとなっているのは、一般に自社株買いによるものらしい。ここら辺よくわからんな。
それ以外だと、のれん(Goodwill)と長期借入金(Long term debt)の2つが目立つ。やはりIACは買収によって大きくなった会社という面が強いので、既存のメディア事業が少しずつ時代遅れになって行く中、いかに次の時代の事業を買収していけるかが今後の勝負どころになって行くのかもしれない。