Facebook2017Q2決算説明会でマーク・ザッカーバーグが語るロードマップ
Meta Platforms, Inc.

前回、スナップ社の四半期報告会でのエヴァン・スピーゲルの発言をまとめたノートが一部で好評でした。

やはりCEO本人が何を言ったかは企業の情報としてかなり重要だと思うので、これを続けていくのもアリかなと思いました。

今回はFacebookのマーク・ザッカーバーグの発言をまとめます。

Facebook, Inc. (FB) Second Quarter 2017 Results Conference Call

新しいミッションについて

<簡約>

マーク・ザッカーバーグ:

今四半期には大きなマイルストーンを達成した。月次ベースで20億人、日次ベースだと13億人もの人たちがフェイスブックを利用している。

事業面でも良い結果だった。全体の売上は前年と比べて45%成長して93億ドルとなり、広告収益だけだと47%成長して92億ドルとなった。

この進捗に誇りを感じるし、世界に対して可能な限りポジティブなインパクトを与えなくてはいけないという責任にもつながる。だから先月、フェイスブックのミッションを更新した。

これまでの10年間、我々は世界をよりオープンでつながったものにすることに注力した。

人々が声を上げたり、家族や友人とよりつながったままでいられるようにするためにやることはまだまだたくさんある。

しかし今、我々にはさらに多くのことをする責任があると思う。我々の新しいミッションは「世界をお互いに近づけること」だ


ミッションの大部分はコミュニティを作ることだ。コミュニティは我々に、我々自身よりも何か大きいものの一部で、一人きりではなく、未来に向かってより良いことをやれるという感覚を与えてくれる。

先月、我々は最初の「フェイスブック・コミュニティズ・サミット」を開催し、我々が「意味のあるコミュニティ」と呼ぶものを作る製品のロードマップについて話した。

フェイスブックにおいて意味のあるコミュニティとは、あなたのソーシャル・ネットワーク体験や現実世界の助け合いにおいて、すぐに重要なものとなるようなグループだ。

そして今現在、1億人以上がこれらのグループの一員だ。新しい親たちから希少疾患に苦しむ人々まで。

これらのグループはしばしば、オンラインとオフラインをまたがっている。人々を物理的にも、オンラインでも近づけるのだ。

我々のゴールは、10億人以上の人たちが意味のあるコミュニティに参加するのを助けることだ。この一部は、人々が正しいグループを見つけることを含んでおり、だからこそ我々は人々の興味をよりよく理解し、彼らにとって意味があるかもしれないグループをオススメするAIのようなテクノロジーを開発している。

そして、これに取り組みはじめて6ヶ月後、すでに今までよりも50%多い人たちが意味のあるコミュニティに参加することを助けた。まだまだこれからだけど。

また、人々がコミュニティを作り、リードするのをもっと簡単にしたい。

先月、グループ管理者のための新しいツールを公開した。それにより、誰がメンバーなのかという情報が知りやすくなり、メンバーのリクエストをフィルタリングしたり、素行の悪いメンバーやコンテンツをすぐに取り除いて、前向きで安全な環境を維持できるようになる。

三つの時間軸における進捗と、人工知能との関係

次に、以下の3つのタイム・ホライズンにおいて何を作っているかについて簡単なアップデートを行いたい。

・既存のサービスをもっと便利にする

・既存サービスの周りに、次の5年で新しいエコシステムを作る

・次の10年間で我々のミッションを達成するために、基礎的なテクノロジーを作り出す


だから、「ストーリー」機能で起きている成長は嬉しいものだ。

インスタグラム・ストーリーは今や2.5億人以上の人たちが毎日使っていて、WhatsAppのストーリー機能もまた毎日2.5億人以上の人たちが使っている。

我々はいつでも、人々がシェアする方法を改善し続けている。そしてこの四半期、写真や動画付きのストーリーに返信できるようにしたし、インスタグラムのライブ動画への返信を共有できるようにした。

我々がもつ全ての製品において、人工知能が人々の体験をどのように改善してくれるか、ワクワクする。

人工知能は我々のシステムの多く、ニュースフィードや検索、広告、セキュリティ、スパムフィルタなどなどについて、一貫した改善をもたらしてくれることがわかってきている。

しかし私は、既存の体験を改善してくれる以上に、ビジネスを行う方法が人工知能によってより重要なやり方で変わっていくのではないかと期待している。

例えば今日、コミュニティを安全に保つため、人々がコミュニティ標準を破っているかもしれないコンテンツをレビューするためにフラグ付けしてもらうのに頼っている。

将来、人工知能はそういうコンテンツにフラグ付けするのを、誰かがそれを見るよりももっと速く行うだろう。

テロリズムと戦い、プロパガンダや過激論者のアカウントをフェイスブックから引き剥がすために人工知能を使い始めた。

さらに我々は、テロリズムを促進するために使われたかもしれない文章を理解する人工知能も試し始めている。

ニュースフィードでは、現状のほとんどでは、つながりのある人々やページからのコンテンツを見せている。

これをアルゴリズムの改善によってよりよくランク付けできるが、人工知能による本当に大きな改善は、存在する全てのコンテンツを理解でき、友人が気になっているものを超えてあなたにとって重要なものをもっとたくさん発見するのを助けることができることだ。

ビジネスサイドでは、マーケティングがどのように働くかについて大きな転換が起きようとしている。マーケティングの最初の波では、人々は顧客が見るかもしれないメディアで広告を購入していた。似たような層が見ているテレビとかね。

しかし、それでは誰がその広告を見たのかわからない。

インターネットによって、実際に興味をもつかもしれない人たちに狙いを定め、その効果をはるかに正確に測ることができるようになった。

それはデカい改善だった。そして今、人工知能はさらに先へと進めようとしている。

今、あなたはクリエイティブ・メッセージをここにおいて、AIによってあなたは誰が最もそれに興味を持つかを知ることができる。あなたはもう、誰かに狙いを定める必要すらない、なぜなら人工知能はそれを手動にやるよりもっと正確に、うまくやってくれるからだ。これにより、あなたたちが目にする広告はより関係のあるものになり、ビジネスにとってももっと効率的になる。

それは人工知能によって次の数年で我々のコア・サービスが改善することについて楽観的な理由のごく一部にすぎない。次の5年間では、すでに多くの人が使っている製品の周りにエコシステムを作ろうとしている。

動画が引き続き大きな注力ポイントであり投資領域であることは(過去に)話してきた。

それは速く成長しており、動画体験をよりよくするための新機能も導入している。

例えば、5月にiOSで、時間のある全てのプロフィールやページにいる誰かとライブをできるオプションを追加した。

ライブをもっと接続可能にするために閉じられたキャプションも公開した。


また、メッセンジャーとWhatsAppの周りにビジネス・エコシステムを作る取り組みも始めている。メッセンジャーとWhatsAppはともに巨大なコミュニティを有し、速いスピードで成長している。WhatsAppは今や毎日10億人が使っている。

収益化についてはまだ早い段階ではあるが、メッセンジャーの一部の人たちに広告を見せ始めた。これについてはもう少し速く結果を見せたいが、長期的にはうまくやれることを確信している。

最後に、次の10年間で、我々はミッションを達成するのに必要な基幹テクノロジーを作るのに取り組んでいく。

VRでは、「Spaces」からのライブを発表し、そこでは異なる場所にいる友人とライブ会話を行うことができる。これは、新しいやり方で人々を集め、コミュニティを作るのを助けるのに強力なツールになるポテンシャルがあると思う。

また、我々は世界中の誰もがインターネットによる機会を享受できるようにすることにも取り組んでいる。

5月には「Aquila」を飛ばすことに成功した。それは、インターネットにつながらない地域にインターネットを飛ばすソーラー・パワー式の飛行機だ。それは2度目の飛行成功だった。

これらと他のプロジェクトでは、コミュニティに提供するインフラとして継続的で積極的な投資が必要になる。前四半期、我々のフォートウォースのデータセンターが稼働し、今や再生可能エネルギー100%でトラフィックを提供しており、これをロス・ルーナス、ニューメキシコ、アルトゥーナ、アイオワなどにも拡大する予定だ。

2017年の第一四半期はフェイスブックにとって重要な基幹だった。我々はいくつかの大きなマイルストーンを達成したし、ビジネスの結果もよかったし、強いコミュニティを作って世界を近づけるための明確なゴールも設定した。しかし、まだまだこれからだ。

<簡約ここまで>

感想とまとめ

内容に関しては同社のカンファレンス「F8」で言っていた内容と概ね一致していますが、人工知能との事業の関わりについてここまで詳細に発言しているのは初めてみました。

Facebookが提供する機能をものすごくざっくりと言うならば、それは「人とコンテンツ(広告含む)のマッチング」です。

そのマッチングに関してはある意味、いくらでも向上の余地があり、それが人工知能技術によって全く違うレベルにまで向上していく、ということが起これば、同社の地位はますます強固なものとなるでしょう。

そうなった時にFacebookの業績がどうなっているか。。考えるだけで末恐ろしいですね。