2010年代、大きく普及が進んだ「インターネット動画」の世界。次の10年も最大の注目分野の一つです。
動画時代の有力プラットフォームは、何と言ってもYouTube。2005年にサービス開始したYouTubeは、翌年に早くもGoogleから16.5億ドルで買収。
「元が取れるわけない」と非難されたYouTubeの買収ですが、やがて誰もが日常的に動画を見るようになりました。数多くのスターがYouTubeから誕生し、Googleにとっても欠かせない成長事業に。
YouTubeは、どうやって大きな成功にたどり着いたのでしょうか。創業の背景から急成長の過程まで、サクッと読める形式に整理したいと思います。
YouTubeの創業者は、チャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリムの3名。3人ともPayPalの初期メンバー、いわゆる「PayPalマフィア」の一員です。
チャド・ハーリーは1977年生まれ、ペンシルバニア州出身。大学ではアート専攻で、PayPalにはUIデザイナーとして入社。PayPalのロゴデザインも担当しています。
PayPalで仲良くなったのが、スティーブ・チェンとジョード・カリム。3人ともPayPalのエグジットで大金を手に入れ、自由を謳歌していました。
スティーブ・チェンは台湾生まれで、8歳でアメリカに移住。高校から数学で大学レベルの教育を受けるほどの秀才です。PayPal創業メンバーのマックス・レブチンはイリノイ大の同級生で、初期のPayPalに誘われます。
スティーブは2004年、Facebook初のエンジニアとして働いた経験もあります。YouTubeに参画するため辞める際には「Facebookは大きくなる。動画サービスなんて未来ないぞ」などと言われたそうです。
チャドは初代CEO、スティーブはCTOとして初期YouTubeを経営しましたが、発案者とされるのは実は三人目のジョード・カリムです。
ジョードは東ドイツ生まれで、13歳のときアメリカに移住。大学はイリノイ大学なので、彼もレブチン経由でPayPalに入社したのでしょう。非常にクリエイティブな人物でしたが、YouTube公開後は学業の道へ。仲間や出資者に引き止められながら、大学院を優先しました。
ジョードは2006年、Googleに買収された直後(10月21日)のタイミングで「YouTube創業の経緯」についてイリノイ大学でスピーチしています。彼によれば、新たなテクノロジーの普及に不可欠なのが「キラーアプリケーション」の存在。