事業内容
沿革・会社概要
Autohome Inc.（オートホーム / 中国語: 汽车之家）は、中国北京に本社を置く、自動車消費者向けオンラインプラットフォーム。2008年、Sequel Limitedとして設立され、2009年後半に、中古車リスティングプラットフォームを開始した。2011年にAutohome Inc.に社名変更。2013年10月、香港の完全子会社の1つを通じてAutohome Mediaを買収した。2013年12月、ニューヨーク証券取引所へ「ATHM」のシンボルで上場した。
2015年に、Autohomeが49％の株式を保有するフルサービス型自動車販売プラットフォームの合弁会社を設立し、100％子会社であるBeijing Chezhiying Software Co., Ltd.を通じて中古自動車関連事業を開始した。
2016年6月に、Ping An Group（中国平安保険グループ）の完全子会社であるYun Chen Capitalが筆頭株主となった。Yun Chen Capitalは、Autohomeの発行済株式の51.9％を保有している（2020年2月29日時点）。
2017年に、中国で主にAR技術の開発・応用と関連事業を行うVisionstar Information Technology (Shanghai) Co. Ltd.の10％の株式を取得した。また、中国で保険仲介事業を行うための認可を受けたShanghai Tianheの全株式を、Autohome Informationを通じて取得した。
2018年6月、中古車のオンライン入札プラットフォームを運営するTTP Car Inc.との間で、現金1億米ドルの対価で8％の3年物転換社債の形で投資を行うことで合意した。
2019年、Autohomeは欧州市場に事業を拡大するため、欧州に3つの完全所有子会社を設立した。
事業内容
Autohome（オートホーム）は、新車関連の『autohome.com.cn』と中古車関連の『che168.com』の2つのWebサイトや、モバイルアプリとミニアプリを通じて、中国の自動車消費者に包括的なコンテンツを提供している。Autohomeは自動車メーカー市場での高い浸透率を誇り、2019年に中国で営業している自動車メーカー92社にメディアサービスを提供した。
Autohomeは、「AutohomeのWebサイトやモバイルアプリのユーザー」、「Autohomeの取引プラットフォームを利用する自動車消費者」、「自動車メーカー、ディーラー、金融機関、その他のサービスプロバイダーを含む顧客」の3つのグループにサービスを提供している。
Autohomeは、主に自動車メーカーの広告サービスや、特定の自動車ブランドの地域事務所が実施するマーケティングキャンペーンを含むメディアサービスと、主にディーラー購読サービス、個々のディーラー広告主に販売する広告サービス、中古車リスティングを含むリードジェネレーションサービスから収益を得ている。
Autohomeの事業の相乗効果をさらに発展させるため、2019年には中国初の自動車をテーマにしたフェスティバル『818グローバルスーパーオートショー』をスタートさせた。8Hunan TVと提携し、ARとVR技術を採用して、オフラインのオートショーの雰囲気を提示する、360度パノラマ多次元オンラインビジュアルシーンを構築した。
プラットフォーム
Autohomeがユーザーに提供するサービスには、主にAutohomeのWebサイト、モバイルアプリケーション、ミニアプリ、専門家が作成したオリジナルコンテンツ、ユーザーが作成したコンテンツ、インタラクティブなオンラインコミュニティが含まれている。
Autohomeのプラットフォームは、Autohomeのビッグデータ機能によって支えられている。Autohomeの広範なユーザーデータは、拡大する大規模なユーザーベース、自動車エコシステムのパートナー、およびサードパーティのデータプロバイダーから得ている。Autohomeの包括的なプラットフォームを通じて、ユーザーのニーズ、行動、自動車所有者のライフサイクルにおけるパターンなどの貴重なデータにアクセスすることができ、コンテンツや商品を正確かつ効果的にカスタマイズすることができる。
Autohomeでは、ユーザーの閲覧行動や嗜好を分析し、ユーザーが関連性があり興味深いと感じる可能性の高いコンテンツを優先的に表示するために、ユーザーインテリジェンスエンジンを開発し、継続的に改善している。特定の車種を検索したり、特定の車種のページに移動したユーザーには、車両の仕様、写真やビデオクリップ、レビュー、競合車種、地元の販売店のリストやプロモーション情報などの関連コンテンツへのリンクが提供される。
コンテンツ
プラットフォームの基盤となるのは、大量のオリジナルコンテンツ、プロフェッショナルコンテンツ、ユーザー生成コンテンツ、AI生成コンテンツ、自動車情報データベースを中心に整理された充実した自動車ライブラリと自動車リスト、プロモーション情報である。
オリジナルコンテンツ
オリジナルコンテンツは、Autohomeの専門編集チームによって作成され、自動車関連の記事やレビュー、様々な地域の市場における価格動向、写真、ビデオクリップ、ライブストリーミングなどが含まれている。このコンテンツは、自動車の調査・選択・購入から所有・メンテナンス・買い替えまで、自動車の所有ライフサイクル全体のトピックをカバーしている。
安全性、動力性能、燃費、快適性、ドライビングエクスペリエンスなど、販売車の性能を総合的に評価する「AH-100車両評価システム」を標準的な基準で運用している。北京本社と中国国内72都市にある営業所の編集チームは、自動車メーカーやディーラー、その他の業界関係者と密接に連携して、自動車関連の記事を作成している。
プロフェッショナルコンテンツ
2016年には、自動車分野の主要なオピニオンリーダーや影響力のあるブロガーやライターを招待し、自動車のレビュー、業界動向、自動車写真、メンテナンスなど、自動車関連のトピックについての高品質な専門的なレビュー・分析・洞察を寄稿してもらうためのオープンコンテンツプラットフォームを開始した。
プロフェッショナルコンテンツは、Autohomeの自動車エコシステム戦略を補完し、高品質の記事、写真、ビデオクリップ、ライブストリーミングで構成される充実したコンテンツをユーザーに提供する。Autohomeのプラットフォームには、2万人以上のプロフェッショナルコンテンツのコントリビュータがいる（2019年12月31日時点）。
ユーザー生成コンテンツとユーザーフォーラム
Autohomeのプラットフォームは、初めての購入者から洗練された自動車愛好家まで、自動車消費者のオープンコミュニティを構築している。Autohomeのユーザーコミュニティは、興味のある様々なトピックに基づいて構成されたディスカッションフォーラムを中心に展開している。Autohomeは、選ばれた登録ユーザーにフォーラムのモデレータとしての権限を与えることで、フォーラムの信頼性、魅力、有用性を確保している。2019年12月31日時点の登録ユーザー数は1億1,000万人を超え、前年比約25％の増加となった。
自動車ライブラリとリスティング
Autohomeは、2005年以降に中国で発売された乗用車モデルの大部分をカバーする、業界内で最も包括的な自動車ライブラリの1つを保有している。これには、性能レベル、寸法、パワートレイン、車体、内装、安全性、エンターテインメントシステム、その他のユニークな機能、自動車メーカーの希望小売価格などを網羅した幅広い仕様が含まれている。
新車・中古車のリストやプロモーション情報も多数掲載しており、継続的に更新されるリスト情報により、ユーザーは地元のショールームを訪問することなく、車種の最新情報を検索することができる。Autohomeの自動車情報データベースには、ユーザーフォーラムからのユーザー生成コンテンツも大量に含まれている。AutohomeのARとVR技術を活用して、3Dで自動車の実物の姿を再現して公開している。
製品・サービス
メディアサービス
大規模かつ急速に成長しているユーザーベースを活用し、Autohomeが収集したユーザーインテリジェンスデータを活用して、広告主に幅広い広告ソリューションやツールを提供している。メディアサービスの広告主は、主に自動車メーカーと自動車ブランドの地域事務所で構成されている。
自動車メーカーは通常、ブランドプロモーション、ニューモデルのリリース、販売促進などにAutohomeの広告サービスを利用している。Autohomeの自動車コンテンツ配信・広告管理プラットフォームは、ユーザーの地理的な位置や特定の自動車関連の興味など、様々な次元でユーザーをセグメントすることができ、特定の広告に反応する可能性の高いターゲット層に広告を掲載することができる。
サブスクリプションサービス
Autohomeはディーラー向けにサブスクリプションサービスを、主に1年間の固定料金契約で提供している。ディーラーはAutohomeのWebサイトやモバイルアプリを通じて在庫やサービスを販売することができ、中国の潜在的なインターネットユーザーに実店舗への誘導を拡大し、販売リードを生み出すことができる。
ディーラーはAutohomeのWebサイトやモバイルアプリでホストされるオンラインストアを作成し、自動車の在庫、価格、販売促進情報をアップロードして管理することができる。潜在的な自動車購入者は、オンラインで、またはプラットフォーム上に表示された電話番号を介して、ディーラーと対話し、より詳細な情報を問い合わせたり、試乗のスケジュールを立てることができる。
中古車リスティングサービス
Autohomeの中古車リスティングサービスは、ディーラーや個人がAutohomeのWebサイトやモバイルアプリで中古車を販売することを可能にしている。『che168.com』は、中古車サービスを中心としたプラットフォームであり、コンテンツ、リスティング、インタラクティブ機能を提供している。また、中古車販売プラットフォームとしてモバイルアプリを開発し、総合的な中古車サービスを提供している。
新車取引プラットフォーム
2014年6月に、『Autohome Mall』の提供を開始した。『Autohome Mall』は、ユーザーが自動車関連の情報を確認したり、自動車メーカーが提供する割引クーポンを購入したり、新車を購入することができるオンライン取引プラットフォームである。2015年には、自動車の直接販売と手数料ベースのサービスの提供を開始した。
中古車取引プラットフォーム
Autohomeは、2018年6月に中古車のオンライン入札プラットフォームを運営するTTP Car Inc.に出資した。自動車購入者と中古車販売者を結びつけ、オートファイナンス商品の提供、査定ツールの提供など、自動車関連サービスを幅広く提供することで、プラットフォーム上での中古車取引の円滑化を支援している。TTPが提供するオフラインでの車検や所有権移転サービスを融合し、ユーザーに総合的な自動車関連サービスを提供している。
オートファイナンスサービス
Autohomeは2017年初頭にオートファイナンス事業を開始し、消費者の自動車所有のライフサイクル全体を対象とした包括的なオンラインベースの金融サービスを提供してきた。利用者の嗜好やビッグデータ分析をもとに、提携金融機関が提供する幅広いローンや保険商品を、自動車融資ニーズを持つ利用者に提案し、取引の円滑化を図るためのマッチングを行っている。
データ商品
Autohomeは、AI、ビッグデータ、クラウド機能などの技術を活用し、2018年より自動車メーカーやディーラーにデータ製品を開発・提供している。データ製品は、自動車メーカーやディーラーの地理的な競争優位性や流通戦略に関するビッグデータと多次元分析に基づいて作成されたデータレポートと、eマーケティングやスマートコールアウトを含むインテリジェントなセールスマーケティングツールで構成されている。
