今回は、市場からの評価が大きく高まっている「アイ・アールジャパンホールディングス(以下IRジャパンHD)」についてご紹介したいと思います。
IRジャパンHDは、名前の通り企業の「IR(Investor Relations)」に特化した会社で、上場企業向けのIR活動を支援するコンサルティング会社です。
株価推移を見ると、2019年以来ものすごい値上がりを示しており、1年と五ヶ月で株価は10倍近い値上がりとなっています。
やや不思議なのは、「上場企業向け」という一見限られた市場にも関わらず、ここまで評価が高まっていること。
2020年5月20日現在、東証に上場する企業は3,713社。IR活動は企業によって様々で、必要ではあるものの、あくまで業績自体の向上が重要。プラスアルファについてはNice-to-have的な側面も否定できません。
にもかかわらず、IRジャパンHDはなぜここまで評価を高めているのか。会社の始まりからビジネスモデル、足元の状況までについて確認したいと思います。
IRジャパンHDの代表である寺下史郎氏は1982年、株式会社AIA(現The IR Corporation)に入社しています。
AIA社ではイトーヨーカドーなど、珍しかった国内企業の米国上場(ADR)に関する情報開示を草分けとして支援しました。
1997年にはアイ・アールジャパンに転職。ソニーにおいて日本で初となる外国人・国内実質判明調査等プロキシーソリシテーション(議決権行使促進業務)を開発。
これを株主向けSR活動(Shareholder Relations)と名付け、大手企業500社強への普及に取り組みました。
その後も第一三共vs村上ファンド、サッポロHDvsSPJといった委任状争奪案件(どちらも事業会社側)、国際石油開発&帝国石油や三越&伊勢丹などの統合案件にも関わっています。
こうした実績から、経済産業省における日本企業の買収防衛を諮問する「企業価値研究会」委員を2004年から務めてきました。
寺下氏は2007年に副社長に就任し、2008年にはMBOによってオーナー代表に。2011年にはJASDAQ上場を果たし、2017年には東証二部、2018年には東証一部に指定されています。
業績推移をみると、2015年くらいまでは比較的マイルドな成長でした。しかし東証二部への上場前後から業績が加速。
2020年3月期の売上高は76.8億円(前年比+59.1%)、経常利益は36.1億円(同+149.5%)。大幅な増収増益となりました。
なぜこれほど大きく事業が伸びているのでしょうか。何か会社を買収したというわけではありません。